夫婦で不動産を購入するとき、共有名義で不動産を購入したり、住宅ローンを借りたりすることは、決して珍しいことではありません。
しかし、離婚することになった場合には、共有名義の不動産が悩みの種になってしまう可能性もあるでしょう。
そこで今回は、離婚時に共有名義を解消しない場合の問題点と、共有名義の不動産を離婚時に処分する方法について解説します。
□離婚時に不動産の共有名義を解消しないとどうなる?
1.離婚後も相手の同意がないと売却できない
不動産の名義を共有名義のまま離婚した場合、後に不動産を売却したくても相手の同意なしでは不動産を売却できません。
不動産を売却するには、所有者全員の同意が必要なので、離婚後もコミュニケーションを取り続けましょう。
2.相続で権利関係が複雑になる
夫婦で不動産の名義人にしている場合は、どちらかが亡くなった際、相続時に権利関係が複雑になってしまいます。
つまり、本来、どちらかの相続人が名義人となるはずが、夫婦双方の相続人が名義人になり、名義人が増えるのです。
そうすると、将来「売却したい」となった場合に、「売却して良いか」という確認を名義人全員に確認して同意を得なければならないので、手続きが煩雑になってしまうかもしれません。
3.夫婦のどちらかが住み続けた場合、住んでいない人にも納税の義務が生じる
共有名義を変更しないまま、どちらかがその不動産に住み続けた場合、その不動産に住んでいない方も納税する必要があります。
これは、登記されている権利者全員が固定資産税や都市計画税の納税義務者の対象となるためです。
4.相手方がローンを返済できないリスクがある
住宅ローンの支払いが離婚後も残っている場合、ローンの滞納に気をつけなければいけません。
もし相手側がローンを滞納してして、ローンを支払えなくなると、家が差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。
*共有名義不動産を第三者に売却して現金化する
離婚を機に、夫婦の両方が新しい住居に引越しをする場合、二人で購入した不動産が不要になることもありますよね。
このような「共有名義不動産を手放したい」と希望する夫婦におすすめの方法が、不動産を第三者に売却して現金化する方法です。
ただし、離婚時に共有名義の不動産を売却するためには、次の3つの注意点を踏まえて手続きを進めなければいけません。
・不動産売却後に住宅ローンが残るか否かで、不動産の処分方法が異なる
・共有名義のまま売却するためには、夫婦2人で手続きを進めていかなければならない
・共有名義不動産売却後のお金の分け方、負担方法でトラブルにならないように
これらの点に注意して、状況に合わせて最適な方法で手続きを進めていきましょう。
*夫婦どちらかの単独名義にして住み続ける
子どもの学校のことや、離婚後の生活費を考慮したときに、しばらくは今の不動産に住み続けたい場合もあるでしょう。
そのような場合には、共有名義を放置せず、物件に住み続ける方の単独名義として財産分与を行いましょう。
この際、重要なポイントになるのが、「住宅ローンが残っているか否か」です。
共有不動産の住宅ローンが残っているかどうかによって、財産分与の仕方は変わってくるので、注意して手続きを進めていきましょう。
離婚時に不動産の共有名義を変更しないままだと、不動産を売却したい時や相続時に、面倒な手間が増えてしまう可能性があります。
そのため、後々トラブルになって夫婦間で揉めごとを起こさないためにも、適切な方法で共有名義不動産を処分してください。