相続が発生したとき、相続税の申告だけでなく、確定申告が必要になるケースがあることをご存知でしょうか。
相続税の申告は、遺産の規模によって必要かどうかが決まりますが、確定申告は相続税の申告の有無に関わらず、様々な状況で必要となる可能性があります。
今回は、相続に関わる確定申告について解説します。
相続で確定申告が必要となるケース、手続きの流れ、期限についてご紹介します。
相続で確定申告が必要なケースとは?
1:相続人自身の確定申告が必要な場合
相続税の申告が不要な場合でも、相続によって新たに発生する所得がある場合、相続人自身が確定申告を行う必要があります。
具体的には、相続した不動産の売却による譲渡所得、相続した賃貸物件からの家賃収入(不動産所得)、相続した事業の承継による事業所得などが該当します。
また、相続で受け取った死亡保険金(相続人が保険料を負担していた場合)も一時所得として申告が必要になります。
これらの所得が発生した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行いましょう。
還付申告の場合は、翌年1月1日から5年以内に行うことができます。
2:亡くなった人の代わりに確定申告(準確定申告)が必要な場合
亡くなった方が生前に所得があった場合、相続人がその方の代わりに確定申告を行う必要があります。
これを準確定申告といいます。
例えば、亡くなった方が給与所得に加え、副収入(20万円を超える)を得ていた場合、あるいは、不動産収入や事業収入があった場合などに該当します。
準確定申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
還付申告の場合は期限はありませんが、5年を過ぎると還付請求権が消滅します。
3:確定申告が必要なケースの具体例
以下に、相続に関わる確定申告が必要となる具体的なケースをいくつかご紹介します。
・相続した不動産を売却し、譲渡所得を得た場合
・相続した賃貸物件から家賃収入を得た場合
・亡くなった方の事業を引き継ぎ、事業所得を得た場合
・相続で受け取った死亡保険金(相続人が保険料を負担していた場合)
・相続した財産を国などに寄付し、寄付金控除を受けたい場合
4:相続における確定申告の注意点
相続に関わる確定申告では、いくつかの注意点があります。
例えば、亡くなった方の未払いの医療費や未納の税金は、相続税の債務控除の対象となる場合があります。
また、還付金は相続財産として相続税の対象となりますが、還付加算金は相続人自身の雑所得となります。
その他、消費税の申告が必要となるケースもありますので、注意が必要です。
相続後確定申告の手続きと期限
1:相続人自身の確定申告の手続きと期限
相続人自身の確定申告は、通常の確定申告と同様の手続きです。
必要な書類は所得の種類によって異なりますが、源泉徴収票や不動産の売買契約書、領収書などが挙げられます。
申告期限は、所得が発生した翌年の2月16日から3月15日です。
還付申告の場合は、翌年1月1日から5年以内です。
2:準確定申告の手続きと期限
準確定申告は、亡くなった方の代わりに相続人が行う確定申告です。
必要な書類は、亡くなった方の源泉徴収票や確定申告書、預金通帳、不動産の登記簿謄本などです。
申告期限は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
還付申告の場合は期限はありませんが、5年を過ぎると還付請求権が消滅します。
3:必要な書類と提出先
必要な書類は、所得の種類や状況によって異なります。
確定申告書、源泉徴収票、不動産の売買契約書、領収書、預金通帳、戸籍謄本などが必要となる場合があります。
提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。
まとめ
相続に関わる確定申告は、相続税の申告とは別に、相続人自身または亡くなった方の代わりに必要な場合があります。
相続した財産の売却や賃貸による収入、亡くなった方の生前所得など、様々なケースで確定申告が必要となる可能性があるため、それぞれの状況を正確に把握することが重要です。
手続きは複雑なため、不安な場合は税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
申告期限を過ぎるとペナルティが科される場合もありますので、期限内に手続きを行うようにしましょう。
相続税の申告と確定申告を区別し、それぞれの必要性と手続きを理解することで、スムーズな相続手続きを進めることができます。
相続に関する手続きは、専門家のサポートを受けることで、より円滑に進めることができます。