相続と青色申告とは?事業承継の税務手続きを解説

2025-06-14

相続相談


事業承継は、人生における大きな転換期です。

特に、長年築き上げてきた事業を次の世代へと繋ぐ際には、税務面での適切な手続きが不可欠です。

青色申告の申請手続きは複雑で、見落としが大きな損失につながる可能性も秘めています。

そこで今回は、相続による事業承継における青色申告申請の手続きと、関連する税務上の注意点について解説します。

スムーズな事業承継を実現するために、ぜひ最後までお読みください。


相続事業承継と青色申告


事業承継の申告手続き


相続によって事業を承継した場合、青色申告の承認を受けるには「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

これは、被相続人から自動的に引き継がれるものではありません。

申請書の提出期限は、被相続人の死亡日や、事業承継開始日によって異なります。

死亡日が1月1日から8月31日の場合は死亡日から4ヶ月以内、9月1日から10月31日の場合はその年の12月31日、11月1日から12月31日の場合は翌年2月15日までに提出する必要があります。

ただし、これは被相続人がすでに青色申告の承認を受けていた場合に適用される特例です。

被相続人が白色申告だった場合や、相続人が新たに事業を開始する場合は、事業開始日から2ヶ月以内、もしくは、その年の3月15日までに申請する必要があります。


必要な書類と準備


青色申告承認申請書には、氏名、住所、生年月日、職業、事業内容などの基本情報に加え、事業所の名称、所得の種類、過去に青色申告の承認を受けていたかどうかも記入する必要があります。

また、事業開始日や相続開始日なども重要事項なので、正確に記入しましょう。

申請書には、複式簿記または簡易簿記のいずれかを選択する欄があります。

55万円の特別控除を受けるには複式簿記による記帳が原則ですが、条件を満たせば65万円の控除も可能です。

10万円の特別控除を受ける場合は簡易簿記でも可能です。

必要となる帳簿の種類も、控除額によって異なります。

申請書は国税庁のホームページからダウンロードできます。


申請期限と注意点


申請期限を過ぎると、青色申告の特典を受けることができなくなる可能性があります。

そのため、期限厳守は非常に重要です。

また、申請書類に不備があると、処理が遅れる可能性があるため、事前に内容をよく確認し、必要書類を全て揃えてから提出しましょう。

特に、相続による事業承継の場合、相続手続きと並行して行う必要があるため、余裕を持ったスケジュールを立て、税理士などの専門家への相談も検討しましょう。

期限は、被相続人の死亡日や、事業の開始日によって異なり、複雑なため、事前に税務署に確認することを強くお勧めします。



青色申告の税務上の注意点


相続税との関係


青色申告は所得税に関する制度ですが、相続税との関係も考慮する必要があります。

事業を承継した際に、事業の評価額が相続税の課税対象となります。

青色申告による特別控除や専従者給与の適用状況は、事業の評価額に影響を与える可能性があります。

そのため、相続税申告と青色申告の両方の観点から、税務上の影響を総合的に検討することが重要です。


特別控除の適用条件


青色申告の特別控除は、一定の条件を満たすことで適用されます。

特に、複式簿記による正確な記帳が求められます。

また、不動産所得や事業所得の種類、事業規模によっても控除額が異なります。

適用条件を満たしていないと、控除を受けられないため、事前に条件をよく確認しておきましょう。


専従者給与の扱い


事業承継後、家族に専従者として給与を支払う場合、その扱いを正しく理解しておく必要があります。

専従者給与は、必要経費として認められますが、その金額には一定の制限があります。

また、専従者給与の支払を受ける家族は、扶養家族として税制上の優遇措置を受けることができなくなります。

専従者給与の金額設定や、税務上の影響を事前に確認しておくことが重要です。




まとめ



相続による事業承継は、青色申告の申請手続きや税務上の注意点など、複雑な課題が多く存在します。

申請期限や必要書類、手続き方法を理解し、適切な手続きを行うことが重要です。

また、相続税との関係や特別控除、専従者給与の扱いについても、十分に理解した上で対応することが、事業の円滑な承継と税負担の軽減につながります。

必要に応じて税理士などの専門家へ相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。


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