相続不動産を管理できない理由とは?その現状も解説

2026-07-18

相続相談


相続した不動産をどのように管理すれば良いか、悩ましい状況に直面することは少なくありません。
特に、遠方に住んでいたり、管理に手間や費用がかかったりする場合、その負担は増すばかりです。
相続放棄という選択肢を検討しても、思わぬ義務が残ってしまうケースもあります。
こうした、相続不動産の管理が難しく、手放すことも容易ではない現状について、その理由と、管理負担を軽減するための具体的な道筋を見ていきましょう。

相続不動産を管理できない理由と現状は


管理負担の大きさや遠方


相続した不動産、特に土地や建物は、その立地や状況によっては管理が困難になることがあります。
例えば、所有者が遠方に住んでいて物理的に管理が難しい場合や、定期的な手入れ、固定資産税の支払い、修繕費用など、経済的な負担が大きすぎて継続的な管理が難しいといったケースが考えられます。
こうした負担から、不動産を手放したいと考える方が増えています。

相続放棄しても残る管理義務


相続放棄は、被相続人の財産を一切相続しない手続きですが、注意が必要です。
相続放棄をしたとしても、その不動産を「現に占有している」状態にある場合、民法939条に基づき、相続財産を適切に管理・保存する義務(保存義務)が、その占有を引き継ぐまで残ることがあります。
これは、相続放棄をしたからといって、直ちに全ての管理責任から解放されるわけではないことを意味します。
具体的には、物件の出入りや鍵の保管、郵便物の管理など、事実上支配・管理している状態が「現に占有している」と判断される可能性があります。

所有者不明土地化のリスク


管理が難しく、所有者も不明確なまま放置された不動産は、所有者不明土地へとつながるリスクをはらんでいます。
所有者不明土地は、適切な管理が行われず、景観の悪化や雑草・老朽化による周辺への危険、犯罪の温床となるなど、地域社会に様々な問題を引き起こす可能性があります。
このような事態を防ぐためにも、相続不動産の管理問題への適切な対処が求められています。



相続不動産の管理負担を減らす放棄する道筋は


相続土地国庫帰属制度の活用


不要な相続不動産を整理するための新たな制度として、相続土地国庫帰属制度があります。
この制度を利用すると、一定の要件を満たす土地であれば、所有権を国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができます。
例えば、建物がない土地、担保権などが設定されていない土地、有害物質で汚染されていない土地などが対象となり得ます。
申請には審査手数料や、土地の管理費用相当額的の負担金が必要となりますが、管理負担から解放される道が開かれます。

相続財産清算人への引き継ぎ


相続放棄をしたものの、不動産を「現に占有」しているために管理義務が残ってしまった場合、その義務を終了させる一つの方法として、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立てることが挙げられます。
相続財産管理人とは、相続財産の清算を行い、残った財産を国庫に帰属させるなどの手続きを行います。
この清算人に不動産を引き継ぐことで、本来の相続放棄者は管理義務から解放されます。
ただし、申し立てには費用がかかります。

他の相続人への引継ぎ


相続不動産が共有名義である場合や、他に相続人がいる場合には、その相続人に管理を引き継いでもらうことも、自身が管理義務から解放されるための有効な手段となります。
他の相続人が相続財産を管理・取得してくれるのであれば、自身が「現に占有」する状態ではなくなり、結果として管理義務を免れることができます。
ただし、他の相続人との合意形成が不可欠です。



まとめ


相続した不動産の管理が難しい状況は、管理負担の大きさや遠方への居住、そして相続放棄後も「現に占有」していると残る管理義務など、複数の要因が絡み合っています。
こうした不動産を整理し、管理負担を軽減するためには、「相続土地国庫帰属制度」によって国に引き渡す、家庭裁判所の「相続財産管理人」に引き継ぐ、あるいは他の相続人に管理を委ねるといった、具体的な道筋が存在します。
ご自身の状況を正確に把握し、最適な方法を選択することが、問題解決への第一歩となるでしょう。

Q:相続放棄をすれば、その瞬間から不動産の管理責任は完全になくなりますか?

A:必ずしもそうとは限りません。
相続放棄をしても、その不動産を「現に占有(実際に支配・管理)」している場合は、次の管理者に引き継ぐまで管理・保存する義務が残ることがあります。

Q:相続した土地を国に引き取ってもらえる制度があると聞きましたが、どのようなものですか?

A:令和5年から始まった「相続土地国庫帰属制度」というものがあります。
建物がないことや担保権が設定されていないことなど一定の要件を満たし、審査手数料や負担金を支払うことで、土地の所有権を国に引き渡すことが可能です。

Q:相続放棄後に残ってしまった管理義務を、法的に終わらせる方法はありますか?

A:家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立て、その清算人に不動産を引き継ぐ方法があります。
清算人に財産を渡すことで、占有状態が解消され、本来の相続放棄者は管理義務から解放されます。

Q:共有名義の不動産で自分だけが管理の負担を減らしたい場合、どうすればよいですか?

A:他の共有者や相続人に管理を引き継いでもらうことが有効な手段となります。
他の相続人が管理や取得をしてくれれば、自分が「現に占有」する状態ではなくなるため、結果として管理義務を免れることができます。

Q:管理できない不動産を放置し続けると、どのような社会的なリスクがありますか?

A:所有者不明土地となり、雑草の繁茂や建物の老朽化によって近隣に危険を及ぼしたり、犯罪の温床になったりする恐れがあります。
こうした地域社会への悪影響を防ぐためにも、制度の活用や相続人間での協議など、早期の適切な対処が求められます。

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